研究シリーズ「レジャーにおける格差・差別・スティグマ」
今日、私たちのレジャー活動において、人工知能(AI)はすでに欠かせない技術になっている。たとえばビデオゲームの性能は著しく向上し、バーチャルリアリティのゲーム機器は我々の感性を試す。AI技術が援用されている出会いアプリやAIロボットは、感情を移入する相手を見つけだす助けとして働く。これらが示すことは、AIは私たちの社会との関わりや人間としての充足感の獲得に大きな影響を及ぼしているということだ。余暇の時間に行うインターネット上やソーシャル・メディアの閲覧記録は、企業がこぞってAIを使って分析し、商品販売戦略に活用されている。こういった余暇時間中のレジャー活動は、オンラインであれオフラインであれ、自由なレジャー活動を妨げる偏見やスティグマ、そして社会の差別の構造さえ映し出していることを忘れてはならない。
B’AIグローバルフォーラムでは、レジャー研究に関する講演シリーズを行う。最初のシリーズは、レジャーにおける格差、偏見、スティグマをテーマとする。私たちのレジャー活動のなかにいかに格差、偏見やスティグマが織り込まれていったかについて、検証することが目的である。このような基礎研究を経ることによって、AIの技術活用がレジャーにおける格差、偏見、スティグマを知らず知らずのうちに再生産や強化しないよう、その批判眼を養うことができると期待している。