若者と位置情報共有の都市比較研究

ここ数十年の間にGPS技術が急速に発展したことにより、位置情報はソーシャルメディアにおける中心的な機能の1つとなっています。若者たちは、友人関係の維持や安全の確保、さらには新たな出会いの機会など、さまざまな目的で位置情報を活用しており、チェックインやリアルタイムでの位置情報共有が日常的に行われています。

こうした利便性がある一方で、位置情報の共有にはプライバシーリスクや安全性への懸念も伴います。プライバシーに関する問題については数多くの先行研究がありますが、多くは個人レベルの心理的プロセスや、位置情報共有の技術的な特徴に焦点を当てており、より広範な社会的・文化的背景に対する関心は限定的となっています。

しかしながら、一部の先行研究では、文化的な要因が位置情報共有行動に影響を与える可能性が示唆されています。たとえば、欧米の文脈では情報開示に対して慎重な傾向が見られる一方で、東アジアの人びとの間では異なる傾向が報告されています。

このような背景を踏まえ、藤田結子研究室が実施する本研究プロジェクトでは、東京を中心に、質的調査を用いて若者の位置情報の利用状況を異なる都市間で比較します。東京はグローバルなメガシティであり、技術的に先進的であると同時に、世界中から観光客が訪れる都市でありながら、いつでも安心して歩ける街でもあります。こうした広範な社会的要因が、異なる地域でどのように位置情報の利用に作用するのかを明らかにすることで、今後の位置情報研究にとって新たな方向性を提示することが期待されます。

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