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Dr. Paolo Granata インタラクティブ講演会「マーシャル・マクルーハンの『メディアの法則』と戯れる」報告

Alyssa Castillo Yap(B’AIグローバル・フォーラム 院生メンバー)

・日時: 2024年6月7日(金)17:00-18:30(日本時間)
・形式:対面のみ
・対面会場:東京大学本郷キャンパス工学部2号館9階92B
・言語:英語のみ
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Paolo Granata博士は、著名なメディア学者であるマーシャル・マクルーハンの、カナダのトロント大学セント・マイケルズ・カレッジにおける多彩な人生を紹介することから講演を始めた。Granata博士は、我々人間が様々なメディアと接する際に取り組むべき問題の射程について、聴衆の興味を引き出しながら、マクルーハンのメディア志向的人文学を通じて行ってきた、そして現在も継続している研究成果について深く掘り下げていった。

Granata博士の講演における印象的な例として、COVID-19パンデミックにより全ての授業がオンラインで行われていた時期に学生と始めた教育のためのVRプロジェクトが挙げられる。彼は、マクルーハンの「コーチハウス」にインスパイアされたVR空間の一部を聴衆に例示し、学習における学生と教師の共同作業のための共同提示的で創造的な形式が、時代を超えて重要であることを実証した。かつてマクルーハンがそうしたように、Granata博士は、学習者を仲間として巻き込む参加型のセミナー形式を提唱した。この教育法は、今回の講演の中心であったボードゲーム「The MediuM」の開発に貢献した。

Granata博士は会場の参加者を複数のチームに分け、トロント大学セント・マイケルズ・カレッジのブック&メディアスタディーズ・プログラムの学生と作り上げたボードゲームである「The MediuM」(詳細はhttps://www.themedium.online/を参照)のルールを説明した。このゲームは、ボート上の4つの象限が書かれたサイコロ、ボードの中央に裏返しに置かれた歴史的なメディア技術が書かれたカード、ボード上を移動する4チームの駒、そして、マーシャル&エリック・マクルーハンによる著書『メディアの法則』(原著:Laws of Media: the New Science, University of Toronto Press, 1988)で書かれた全てのメディアの重要な構成要素にインスパイアされた「テトラパッド」と呼ばれるボードで構成されていた。

各チームから代表者を1名選出し、会場の前方で実際にゲームを行った。代表者は、カードの山から引いた謎の「メディア技術」をチームメンバーに向けて説明する役割を担った。代表者はサイコロの出目に応じて、テトラパッドの4つの「メディアの法則」のうちの1つに基づき、自分のチームにヒントを与えることができた。会場は大いに盛り上がり、数ラウンドが行われ、テトラパッドの象限に従って説明されている歴史的なメディア技術を推測する、挑戦的でありながら非常に刺激的なゲームとなった。象限には、「強化」「衰退」「回復」「反転」と名付けられていた。Granata博士は監督役を務め、英語(と日本語)でゲームのルールを説明し、初めてプレイする人たちに、「メディアの法則」を楽しくインタラクティブなゲーム形式でナビゲートする方法のヒントを与えてくれた。

インタラクティブな講演は、参加者から非常に肯定的なフィードバックを得て終了した。多くの参加者が、自分の教室や個人的な使用のためにこのゲームを購入したいという熱意を表した。その後、BAIROOMで開催された振り返りのレセプションで、Granata博士の「The MediuM」のデモンストレーションの成功を祝福し、幕を閉じた。