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2023年度第4回BAIRAL研究会
「ポスト近代の軍隊における覇権的男性性の変容」

◇BAIRALとは
BAIRALは、東京大学Beyond AI推進機構B’AI Global Forumの若手RA(リサーチアシスタント)が主体となり、月に一回のペースで開催している研究会です。B’AI Global Forumでは、AI社会におけるジェンダー平等とマイノリティの権利保障という社会目標の実現に向けて研究を進めております。その一環として、BAIRALではデジタル情報技術と社会の関係について理解を深めるために、隔月、様々なゲストスピーカーの方にお話しいただいております。

 

◇開催情報
・日時:2023年11月22日(水)17:00-18:30
・場所:Zoomミーティング(事前申し込み不要)
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/84070855544?pwd=UaHBQcSgXSlNhFdmILEBNmCjRtCQKc.1
ミーティング ID: 840 7085 5544 / パスコード: 672655
・使用言語:日本語

 

◇ゲストスピーカー
児玉谷レミ(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)

 

◇趣旨
軍事とジェンダーは密接な関係のもとにあります。軍事と男性性を結びつけ、その一方で女性性を弱く忌避すべきものと位置付けながら、軍事力の行使は正当化されてきました。
報告者は戦後日本社会の軍事と男性性の関係について、自衛隊のイメージの変遷を検討することによって考察をしています。日本では、特に社会学領域において軍事にまつわる考察を深めるための理論の蓄積が進んでおらず、参照点となるのが英米圏の軍事社会学などの議論です。
近年注目を浴びている概念に「ポスト近代の軍隊」というものがあります。冷戦終結後の安全保障環境の変化に伴い軍隊を取り巻く環境は大きく変化し、「ポスト近代の軍隊」は国境を越えて「遠くの他者」を救うため、人道支援任務など、戦争以外の任務にますます従事するようになっています。軍隊のありようが変わっていく中で、従来の男性性と戦闘を強く結びつけるヘゲモニーのありかたが変わるかどうかということが今日、軍隊とジェンダーの議論において争点の一つになっています。
現在、軍事社会学の領域ではこうしたポスト近代の軍隊理論に依拠しながら自衛隊を考察しようとする動向があり、自衛隊もまた憲法九条を擁し軍事へのタブー視が色濃くあるなかで、複雑なジェンダー関係のなかに置かれていると報告者は考えます。
今回の報告では、こうした自衛隊の状況を考察するための手掛かりとして英米圏の議論を参照し、ポスト近代の軍隊におけるジェンダーというテーマで考察を行います。本発表では、さらにテクノロジーの発展に伴う軍事化された男性性の変容の議論にも言及していきたいと考えています。現代戦においてはサイバー領域の重要性が高まっていますが、こうした戦い方の変化などの影響も考えていきます。

 

◇主催
東京大学Beyond AI研究推進機構B’AI Global Forum

 

◇お問い合わせ
大月希望(B’AI Global Forum リサーチ・アシスタント)
ohtsuki6nozomi[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp([at]を@に変えてください)