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トラウマレポーティング研究会 シンポジウム
「トラウマを理解したジャーナリズム実践をめざして」開催のご案内

 

B’AIグローバル・フォーラムは、トラウマレポーティング研究会(https://baiforum.jp/projects/trauma_reporting/)の締めくくりのシンポジウムを、2026年2月14日(土)に開催します。ぜひご参加ください。

◇開催情報
・日時:2025年2月14日(土)13:30〜16:30(日本時間)
・開催形式:ハイブリッド(対面&Zoom)/参加登録者は期間限定で配信動画閲覧可
・会場:東京大学本郷キャンパス 福武ホール地下2階 福武ラーニングシアター (先着70人)
https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/
・使用言語:英語・日本語 (同時通訳あり)
・参加費:無料
・参加申込:以下のリンクからお申し込みください。(〆切:2026年2月12日)
https://forms.gle/hnkJdaTrHtNvD3x38

※オンライン参加のURLは前日の2/13にお送りします。

◇プログラム

第1部 講演「デジタルの防弾チョッキをつくろう!」

講演者:Amantha Pereraさん

母国スリランカでは、ジャーナリストとして、内戦や、津波などの自然災害を取材。TIME、ロイター、アルジャジーラなどに寄稿してきました。

現在は、オーストラリア・メルボルンのCentre for Journalism and Trauma Asia Pacific (旧Dart Centre Asia Pacific, 2025年11月に改称)のディレクター&コンサルタントとして、アジア太平洋地域のジャーナリストにトラウマ取材に関する研修などを提供しています(https://journalismandtrauma.org/)。とともに、アデレード大学の大学院博士課程で、情報専門家のための安全でプロフェッショナルなハイブリッドワークスペースを研究し、身を守るためのツール「デジタルの防弾チョッキ」を考案しています。

New Research
How the COVID-19 lockdowns influenced journalists to change the way they react to online and digitally enhanced dangerous and fake content
“Am I Failing to Protect Them?” The Impact of Abuse (of Journalists) on Newsroom Leaders in the Asia Pacific

◇概要

技術の発展により生じた新たな脅威(TFT=technology facilitated threats)と対策について話します。

私たちは、オンライン/デジタル情報への依存度が高くなり、ここから大きな影響を受けています。惨事の現場をスマートホンやパソコンの画面で目にするし、ジャーナリストは、オンライン空間で攻撃を受けやすくなりました。講演では、アジア太平洋で実際にジャーナリストがさらされている脅威と、それがジャーナリズムや表現の自由に及ぼす影響を報告。「デジタルの防弾チョッキ」構想を説明し、ジャーナリストや情報専門家がTFTから自分を守るための指針を示します。

第2部 報告

①「トラウマ取材をするジャーナリストが受ける影響——日韓の実態調査から」李美淑さん(大妻女子大学准教授)

②「オーストラリア研修報告と『私たちの宣言』」トラウマ取材を学ぶ日本のジャーナリストの会(代表・河原理子)

◇概要

ジャーナリスト、研究者、人権活動家などさまざまな立場の人が、トラウマ—深い心の傷—になる体験をした人に接して、話を聴き、社会で共有する取り組みをしています。しかし、こうしたトラウマ取材においては、思い込みを排して「取材相手のトラウマを理解する」ことが不可欠です。さらに、持続的に、より安全な実践をするには、「取材者自身も影響を受けることを認識し、備える」「同僚や仲間をケアする」ことなども考える必要があります。

オーストラリアでは、過酷な取材が続いてPTSDを発症した記者が新聞社を訴えた民事訴訟で、2019年に記者側が勝訴。裁判所は、新聞社の事後対応だけでなく、管理職のほとんどがトラウマに関して研修を受けておらず、若い記者にリスクと対処法を伝える教育が不十分だったことなど、予防措置の欠落を問題視しています。

これら、ジャーナリズムとトラウマ、レジリエンス(回復力)について、2025年8月に、メルボルンのDart Centre Asia Pacific (当時)で学んできた新聞社、放送局、通信社の記者らと研究者が報告をします。トラウマレポーティング研究会から発展した「トラウマ取材を学ぶ日本のジャーナリストの会」の13人が、4日間の集中研修を受けました。そこで得たものを報告するとともに、これからどう行動していくのか、「私たちの宣言」を発表します。

また、ジャーナリストが受ける影響について、これまでどのようなことが判明しているのかを報告します。韓国では2021年に、記者協会や女性記者協会などが初の「ジャーナリストとトラウマ」実態調査をしました。この調査や日本の先行研究などから得られたことを報告し、今後の課題を示します。

なお、トラウマレポーティング研究会は、5年間の活動を、今年度末で終える予定です。

写真は2025年8月8日、メルボルンで。「トラウマ取材を学ぶ日本のジャーナリストの会」提供。

◇主催
東京大学 Beyond AI 研究推進機構 B’AI Global Forum ‘Trauma Reporting 研究会’

◇共催
NHK放送文化研究所
早稲田大学次世代ジャーナリズム・メディア研究所

◇お問い合わせ (取材を希望される場合は必ず事前にご連絡ください)
B’AI Global Forum事務局
bai.global.forum[at]gmail.com([at]を@に変えてください)