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2021年度第7回BAIRAL研究会「AIキャラクターの倫理を考える―『AIりんな』の事例を手掛かりに―」報告

田中 瑛(B’AIリサーチ・アシスタント)

・日時・場所:2022年1月14日(金)18時半~20時 @Zoomミーティング
・言語:日本語
・モデレーター:田中瑛
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2022年1月14日、B’AIグローバル・フォーラムのリサーチアシスタントによる自主研究会「BAIRAL」では、rinna株式会社の福嶌彰太氏と千光寺一輝氏をお招きし、ワークショップを開催した。rinna株式会社は「AIりんな」などのAIキャラクターの社会的活用を推進する企業であり、前半では、千光寺氏から、具体的にどのような取り組みを進めており、何を目指しているのか、どのような点に問題があるのかについてご説明頂いた。特にAIキャラクターに人間と同じような「人格」や「権利」を認めるのか否か、AIに対して人間が負うべき責任は何かといったクリティカルな問題を具体例を挙げながら提起して下さった。

その後、福嶌氏の進行でワークショップを進めた。オンラインホワイトボードを利用し、参加者全員で手を動かしながらAIキャラクターを社会にとってより良いものにするためのアイデアを出しあった。具体的には、AIキャラクターを利用した際の残念な体験などの身近な経験から始まり、AIキャラクターはどのように社会を悪い状態にできるのか、良い状態にできるのかという批判的論点を踏まえ、AIキャラクターのサービス提供側とユーザー側にどのようなことが期待されるのかという構想を練り上げるという手順で進められた。30名以上の参加者全員が積極的にアイデア出しに参加したため、全てを列挙することは適わないが、特に興味深いものを挙げると、AIキャラクターが絶対性や象徴性を獲得し、分断や対立を生み出す可能性があること、他方で、対人的なコミュニケーションに難しさを感じる人々にとっての自己肯定の機会を生み出すこともできることなどが挙げられた。

そして、差し当たりの結論として報告者が重要だと感じたのは、AIの問題をサービス提供者側だけでなく、サービス提供者と利用者の間で調停していかなければならないということである。今回のワークショップは、開かれた議論の場を通じてAIキャラクターの倫理的な使用方法を体系化したいというrinna株式会社の積極的なご提案の下に行われたものであるが、今後もこうした機会を絶え間なく築き上げることとしたい。