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2021年度上海交通大学中日青年エリートプログラム学術交流セッション「デジタルトランスフォーメーション(DX)で社会をジェンダー平等にする」報告

佐野 敦子(B’AIグローバル・フォーラム特任研究員)

・日時・場所:2021年8月23日(月)~ 8月29日(日) 13:30-15:00 @Zoomミーティング
・言語:英語
・講師:佐野敦子

2021年8月23日(月)から29日(日)にかけて、上海交通大学と東京大学による第2回中日青年エリートプログラムが実施され、公募で選ばれた40名の学生が参加しました。プログラム内の学術交流セッションのひとつを特任研究員・佐野敦子が担当し、「デジタルトランスフォーメーション(DX)で社会をジェンダー平等にする」というテーマで講義及び学生同士のディスカッションを通した指導を行いました。

 

このプログラムは、東京大学の学部生を対象とした国際総合力認定制度のひとつに位置づけられています。受講を通して中国語の向上を目指し、中国文化や社会への理解を深めると同時に、コミュニケーション能力や多様性を受け入れる柔軟な思考力、国際感覚を身に着け、今後のさらなる中日関係の改善や未来社会の構築に向けて、将来を担う今の学生たちに何ができるのか、と今後の課題として考えられるようになることを目的としています。

 

開講はすべてオンラインで、午前中は各自のレベルにあわせた中国語の授業、午後は様々な交流イベントが実施されました。佐野特任研究員は、午後の学術交流セッション「デジタルトランスフォーメーション(DX)で社会をジェンダー平等にする」を担当し、上海交通大学の学生4名、東京大学の学生4名に講義およびディスカッションを通した指導を行いました。学生たちは講義をもとに、デジタル技術をジェンダー平等の実現に生かす提案を作成し、両国学生との意見交換を経たブラッシュアップを経て、最終日の全体にむけた最終発表に臨みました。

 

前半の3日間の講義では、SDGsなどジェンダー平等を巡る世界的潮流とICTがその課題解決に期待されていること、その一方でAIや機械学習の導入によってデジタル格差等のジェンダーバイアスが強化される恐れがあることなど、デジタル技術が社会に与えかねない悪影響についても学びました。そして、日中の施策やデジタル分野の女性研究者からの提言を参考に、リスク回避を意識しながらデジタル化をジェンダー平等に生かす提案を各自で考えました。後半は、小グループに分かれて意見交換を行い、最終発表に向けてそれぞれの案をブラッシュアップしていきました。グループ内の事前発表の投票でベストプレゼンテーターに選ばれた学生は中国のeコマースサイトを地方の女性のエンパワメントに活用する提案について5分の発表を、他の学生はパワーポイント1枚と1分~1分半のプレゼンテーションにまとめていきました。

 

学生たちは、今日の世界におけるジェンダー平等推進の重要性や両国の共通の課題について話し合いながら交流を深め、コロナ後に対面で会うことを誓って、プログラムを終了しました。