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展示会「PERCEPTIONS: AIの語りの再構築」報告

エヴァ・ルレイ(B’AI Global Forum 院生メンバー)


・日時:2023年9月8日(金) ~ 10日(日)
・場所:東京大学情報学環本館オープンスタジオ(本郷キャンパス)
・企画者: Priya MU, William GUZMAN, Alyssa YAP, Eva LE RAY
・協力者: Yasha Lai, Axol, Kanji Kyoda、日本語テキスト翻訳: MAX ・イベントの詳細はこちら

東京大学のB’AIグローバル・フォーラム大学院生メンバーが、2023年9月8日から10日まで、初の企画展「Perceptions:AIの語りの再構築」を、東京大学本郷キャンパスの情報学環本館にあるオープンスタジオにおいて開催した。

様々な分野や業界に属する学生や外部のアーティストによる8つの作品を並べた本展示会は、AIの多面的な性質に関する有意義な会話を喚起し、主流の言説によって二極化された評価を与えられがちな人工知能(AI)をめぐる一般的な語りに異議を唱え、再評価することを目的としている。ファッションやゲーム、環境保護、地政学的な関心にまたがる作品は、フィジカルアートとデジタルアートのミックスとなっている。それによって来場者が直接作品に触れられるダイナミックで没入感のある体験が生まれ、彼らがAIをめぐる想像力を形づくる積極的な参加者としての可能性を認識することにつながった。

とりわけソーシャルメディア・アルゴリズムやChatGPTのような言語モデルといったAI主導のテクノロジーが、私たちの外的・内的世界に影響を及ぼし続ける中で、参加者はこうした決定論的な視点を超えていくことの重要性を認識していた。「Perceptions:AIの語りの再構築」は、学術的背景を持つ参加者にもそうでない参加者にも、AIに関する自らの先入観を疑い、再評価することを促した。こうした反省は、3日間にわたって来場者が残した振り返りの小さなメモが覆う壁に結実している。AIに関する認識は、「単純化するもの」、「ガールフレンド」、「危険なもの」、さらには「判断できないもの」など多岐にわたり、本展示会がAIとの相互作用について新たな洞察を呼び起こしたことは明らかだった。

幅広い視点を提示し、決定論的な視点に挑戦することで、本展示会はAIに対するよりニュアンスに富んだ、情報豊かで総体的な理解を促し、この変革的なテクノロジーをめぐる議論において複雑性を受け入れることの重要性を強調している。

B’AIグローバル・フォーラム大学院生メンバーは、AIが駆動する未来をより明確に導くことができるよう、AIに対する私たちの認識を再評価し、再構築する取り組みを続けていく。なお、本展示会については、2023年10月10日に東京大学武田ホールにて、B’AI グローバル・フォーラムの他のポスターとともに、大学院生メンバーがポスター発表をおこなう予定である。