REPORTS

札幌第一高等学校の東京大学訪問
B’AIグローバル・フォーラム講義「人工知能と社会」報告

プリヤ・ム(B’AIグローバル・フォーラム リサーチ・アシスタント)

・日時:2023年9月30日(土)13:00~15:00
・場所:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館92B
・言語:日本語

 

2023年9月30日、B’AIグローバルフォーラムは、札幌第一高等学校の1・2年生35名を東京大学に迎え、「人工知能と社会」と題した講義を開催した。B’AIグローバル・フォーラムディレクターの板津木綿子教授を筆頭に、リサーチ・アシスタントの大月希望とプリヤ・ムも参加した。各プレゼンターはそれぞれの専門性をAIに結びつけ、様々な問題や社会的課題についての洞察を学生たちに提供した。

セッションでは、まず大月から「デジタルアーカイブとAI」と題して発表を行った。博物館やデジタルアーカイブにおける資料収集と、その過程におけるAIの活用について議論し、資料収集と保存におけるAI活用の利点について示唆を与えた。続いてムから「建築とAI」と題したプレゼンテーションを行い、AIや機械学習技術がデザインプロセスをより包括的で民主的なものにするためにどのように活用できるかを議論した。板津教授は「AIと社会」と題した講演を行い、偏った顔認識や再犯防止アルゴリズムの結果など、鮮明な実例を挙げながらその可能性と課題を取り上げた。講演では、AI設計における社会的バイアスや、日本におけるAIに対する振る舞いや態度についても議論された。

ディスカッションでは、AIが社会に与える影響に関するいくつかの重要なトピックが取り上げられた。まず、個人の育成における人間の教師の役割についての質問があり、自動化が普及しても、AIよりも人間の教育者が好まれることが示唆された。2つ目のトピックでは、アニメや漫画におけるAIと人間の共存について掘り下げ、AIが人間の感情を理解する社会の可能性について考えた。また、人知を超えた技術進歩を指す「シンギュラリティ(特異点)」という言葉も登場した。最後に、AIによって実力主義や成果主義に基づいて仕事が奪われることへの懸念が提起され、明確な職業役割を持たなくなる可能性のある個人をどのようにサポートすべきかが検討された。

結論として、この講義は、AI駆動の社会を形成する上で重要な役割を果たすであろう学生たちに、この変革的な技術によって提起される深刻な社会的および倫理的ジレンマについて考える機会を提供することを目的としていた。