REPORTS

B’AI-UTokyo ニューヨーク・イベント
「The Future of Higher Education in the AI Age」報告

Anna Esaki-Smith(国際教育コンサルタント/Education Rethink 共同設立者)

・日時:米国東部標準時 2023年12月14日(木)・ 15日(金)
・場所:対面(東京大学ニューヨークオフィス) & Zoomウェビナー
・使用言語:英語
・主催:東京大学 Beyond AI研究推進機構 B’AIグローバル・フォーラム
・後援:東京大学 Beyond AI研究推進機構、東京大学ニューヨークオフィス

(イベントの詳細はこちら

★ 本イベントに関する記事がTimes Higher Educationのウェブサイトに掲載されました。
https://www.timeshighereducation.com/blog/universities-must-transform-ensure-no-one-left-behind-era-ai

 

 

2023年12月中旬、人工知能(AI)をはじめとするデジタルテクノロジーの公正な利用に向けて活動する東京大学の学際的研究グループB’AI Global Forumは、AIが高等教育に与える影響をテーマに、東京大学ニューヨークオフィスにおいて2日間にわたるシンポジウムを開催した。このイベントでは、異なるバックグラウンドを持つ専門家のパネルがAI技術の社会的影響について議論し、東京大学総長とノースイースタン大学学長がAIによる学生の学び方の変容について「炉辺談話」を行った。

初日は、B’AI Global Forumのディレクターを務める板津木綿子教授による、急速に進展している高等教育の環境に関する開会挨拶で始まった。板津教授によれば、「今日、私たちは急速な技術革新によって定義される時代の崖っぷちに立っており、高等教育のあり方は大きな変容を遂げている」という。また、東京大学准教授の久野愛氏は、2023年に東京大学出版会から刊行されたB’AI Global Forum編著『AIから読み解く社会――権力化する最新技術』について紹介した。本書は、AIが日常生活にどのような影響をもたらすかについての議論を促す様々な学際的視点から著された一冊だという。

 

 

続いて、ラトガース大学英文学・比較文学教授のLauren Goodlad氏とニューヨーク大学タンドン工学部准教授であり、同大学の「責任あるAIセンター(Center for Responsible AI)」のディレクターであるJulia Stoyanovich氏による「専門家」としての講演が行われた。Goodlad教授は「批判的AIリテラシー」、つまり技術の長所と短所を識別する能力について話し、Stoyanovich准教授はAIが採用などの重要な意思決定課題にどのように使用されているか、およびこれらの実践が拡大する際に考慮すべき倫理について議論を展開した。イベント初日の最後を飾ったパネルディスカッションには、東京大学副学長(グローバル教育推進担当)の矢口祐人教授も加わり、多岐にわたる議論が交わされた。

 

 

イベント二日目は、東京大学理事・副学長の林香里教授による挨拶で始まり、東京大学総長の藤井輝夫氏とノースイースタン大学学長のJoseph E. Aoun氏による「炉辺談話」が展開された。藤井総長は応用マイクロ流体システム専門で、Aoun氏は言語学専門と、二人は異なる学術的バックグラウンドを持つが、学生の学び方に対するAIの影響は極めて大きいとの意見で一致した。

 

 

学生たちはすでに、今日の複雑な課題に取り組むために必要な幅広い知識を身につけるべく、より多くの学際的な学習の機会を求めていた。この大学教育へのアプローチは、AIが産業や雇用をさらに混乱させる中で、ますます重要性を増すことだろう。両学長はまた、教員はその専門知識を最新のものに保つために学問と産業の世界の境界線を越えて行くことが増え、学生は知識を適用するために「実践的な」経験を必要とするだろうと述べた。そして最後に両学長は、大学は伝統的な若者層のニーズを超えて視野を広げるべきだとの見解を示した。不確実性と多様化の時代において、高等教育は一般の人々にも門戸を開き、生涯学習を提供することにコミットメントすべきなのである。

膨大な課題があるにもかかわらず、両学長は、大学が持つカスタマイズ能力、柔軟性、個人や社会のニーズへの対応力を強調しつつ、高等教育が未来を形作る可能性について自信を示した。これらの能力を包括することで、急迫する社会的要求に対処しながら熟練して適応力のある労働力の養成に寄与し、AIの時代においても大学は繁栄することができると確信しているのである。