REPORTS

Trauma Reporting研究会 2025年度報告

河原理子(東京大学大学院情報学環特任教授)

・開催日:㉗2025年5月10日、㉘6月1日、㉙7月6日㉚11月1日、㉛2026年2月14日
・場所 : ㉗㉘㉙Zoomミーティング
 ㉚東京大学工学部2号館92B教室、通称sky presentation room
 ㉛東京大学情報学環・福武ホール、福武ラーニングシアター
・使用言語:日本語、英語
・座長 : 河原理子(東京大学大学院情報学環特任教授)

Trauma Reporting研究会は2025年度、勉強会のほかシンポジウムを開催し、5年間の活動を終了した。2025年8月には、研究会から発展する形で、河原ら「有志」13人がオーストラリアを訪ねて、Dart Centre Asia Pacific(DCAP)によるTrauma-Informed Journalismの4日間集中研修を受けて、交流を深めた。

第27〜29回の勉強会はオンラインで行った。第27、28回は、韓国のジャーナリスト・トラウマガイドブックとジャーナリスト実態調査についてメンバーが報告し、議論した。

第29回は、女性ジャーナリストに対するオンライン攻撃についての国際調査The Chilling: A global study of online violence against women journalists (2022)の結果を紹介して、DCAPが作成した「技術が促進する、ジェンダーに基づく暴力」に対してジャーナリストが身を守るための5つのヒント Five tips protecting yourself against TFTBV (2024)の翻訳を検討した。「5つのヒント」の日本語訳は、8月のDCAP研修を経て、2026年3月に仕上げて、DCAP改めCentre for Journalism and Trauma Asia Pacific(CJT、2025年11月に変更)に送った。

第30回は、対面で開催。松井豊・筑波大学名誉教授(社会心理学)を迎えて、災害報道とジャーナリストのストレスについて勉強会を開いた。

総括シンポジウム「トラウマを理解したジャーナリズム実践をめざして」は対面とオンラインのハイブリッドで開催した。2部構成で、第1部はCJTのディレクター&コンサルタント、Amantha Perera氏の講演「デジタルの防弾チョッキをつくろう!」。

第2部は報告。李美淑・大妻女子大学准教授の「トラウマ取材をするジャーナリストが受ける影響——日韓の実態調査から」と、海外研修に参加したメンバーで結成した「トラウマ取材を学ぶ日本のジャーナリストの会」の「オーストラリア研修報告と『私たちの宣言』」。帰国後も職場で勉強会を開くなど模索を続けていることを伝え、研修を受けた「私たち」がトラウマ取材についてこれからどうするのかを5項目の「宣言」にまとめて発表した。

事後視聴も含めると、約200人の参加登録があり、ジャーナリストや研究者のみならず、法律家、看護師、ソーシャルワーカーなど、これまでにもまして幅広い職種の人たちが集った。

また、この研究会で最初に読んだ英国の本Trauma Reporting: A Journalist’s Guide to Covering Sensitive Storiesの翻訳『トラウマを聴く前に知っておきたい10のこと——当事者の声と取材者の実践』を、研究会メンバーの編訳と寄稿により、3月末に岩波書店から刊行する予定である。